雪の精(金平糖の夢)
雪は空からの精のお使いたち。
一粒ひとつぶが赤、青、黄、白、金、銀、いろんな色した金平糖
遠くから雲になってはるばると旅を重ねてたどりつく。
「僕が先に地上に降りていくよ」
「私はもうちょっと先まで飛んで行くわ」
「お〜い おいてかないで」
「私はあそこの小山に行ってくるわ」
わいわいがやがやと雪の精は雲の中から降りてきます。
「ほ〜ら うまく降りれたよ」
「私 半分溶けちゃった」
真冬の三日月が笑顔で皆を見ています。
晴れ渡った雪原には金平糖達があちこちと踊り回っています。
やがて朝が近くなり、雪原は降り積もった雪で静かになります。
春になり、山に降りた金平糖も、畑に降りた金平糖もみんなみんな
水になり、野原や小川を駆けて行きます。
そしていつか大海原にたどり着き、再会をはたします。
それぞれがたどってきた道中のお話をわいわいがやがやと
交わしながら、また来る冬を待ちながら、眠りにつきます。
皆がぐっすりと眠りについたとき、グラスの中に小さな手が現れ、
金平糖たちは子供にすくいとられてしまいました。
合掌 北澤 幹男