相談事。
施設での勤務が長くなると職員からの悩みや愚痴など相談を受けることが
あります。
こんな私でも頼ってくれると思うととてもうれしく思います。
と同時に自分が新人だったころの事を思い出し、今おかれている自分の立場から
適切なアドバイスができただろうかと
振り返って考えることがあります。
「Hさんと仲良くなろうとレクに誘ったり、話しかけたりするけど一方的に
ご自分の訴えばかりで私の話に耳を傾けてくれないんです。」
A君は認知症専門棟に配属になり半年くらいたった頃だと思います。
とても仕事熱心でいろんなご利用者にも人気がありました。
「どんな事を話しかけているの?」
「ご家族の事を聞いたり、ご利用者のお若い頃の話を聞いたり・・・」
まあまあ一般的な会話かなあ。
たしかに認知症のご利用者ですし多少は疎通が厳しいところもありますが会話は
可能な方なんです。
ふと私が新人の頃に受けた研修を思い出しました。
どんな方でもご利用者は人生の先輩、自分がその人の為に何かしてあげようなんて
生意気なことを考える前にご利用者から学ぶ姿勢を怠るな!!と
「A君、最近落ち込んだ事や悩んでいることない?」
「えっ・・先輩職員からご利用者の対応で叱られました。」
「Hさんにその事を相談してみたら。何か変わるかもしれないよ。」
私自身たいした根拠もなかったですが、子供の頃叱られると、おじいちゃんやおばあちゃんに話していた時と重なったのです。
「ダメモトでやってみます。」
それから何日かしてA君からうれしい報告がありました。
「Hさんにこの前の事を話したんです。そしたら
叱られるのはあなたに見込みがあるってことよ。叱られたくらいで、すねてたら一人前にはなれないわよ。頑張りなさい。って熱く語られちゃいましたよ。
こっちは余計落ち込みましたけどね。」と言いながら報告してくれた彼には笑顔がのぞいていました。
しばらくして、Hさんのご長男が面会に来られた際にその話をしてみました。
うちのばあば(ご家族はそう呼んでいます)はよく子供達の悩みを聞いていましたからね。子供達にとってばあばは一番の相談相手でした。
A君のおかげでHさんを又一つ知ることができた一日でした。
T.A